| ケイト氏の「いざ」? (60) |
| 2004年1月11日(月)晴れ いつもマイペースでぼーとしているケイト氏に「たまには男らしくリーダーシップをとってみたら」と言ったことがあったのであるがその時曰く、「僕だっていざという時にはやるから大丈夫」と言われ何時がいざなのかわからないままに今日に至りそんな話をしたこともすっかり忘れていたのである。ところが昨日のことである。時間は6時少し前。そろそろ夕食の時間ということで二人で厨房で準備をしていると玄関のチャイムが鳴ったのである。今ごろ誰だろうと言いながらケイト氏が玄関へ。見るとお子様連れのお客さまのようであるが今日のお客様は既に全員が到着され夕食を待っている筈である。話を聞いているとどうやら明日のお客さまが今日来てしまったようなのである。ケイト氏が「ご予約は明日ではございませんか」と言うとお客さまはびっくりしてしまい「おい一日間違えたんじゃないか」と奥様に。奥様は慌てて「まあどうしましょう」と困り果てた様子。それからハタと気がついたようにバックから予約時のファックスを取り出して見ていると「ここには1月11日チェックアウトでチェックインは10日になっているわよ」と言うので今度はこちらがびっくり大慌てでファクスを調べると確かに1月10日チェックイン11日チェックアウトとなっているではないか。ちょっと紛らわしい書き方であるがこれは確かにMrs.ケイトの大失態である。とにかくお部屋にということで案内したのは良いが暖房の入っていないお部屋はひんやりとしていて寛ぐどころではない。おまけに夕食時間は迫っている。この場は頭を下げてどこか外に食事に行ってもらうしかないと思っていたらなんとケイト氏が大丈夫これから夕食を作ると言ってくれたのである。ケイト氏の偉いところはこんな時決して相手を責めないのである。(これが反対だったら大変な事になるのであるが)しかしこれから作るといっても夏の繁忙期なら常に2.3人分の食材は冷蔵庫にあるがこの厳寒期である。飛び込みのお客様もないので余分な食材は何もなくエビや肉は冷凍物を解凍しなくてはならずいつもより時間がかかる筈である。ともかくお部屋にストーブを運び準備が出来るまでお待ちいただくようお願いして大急ぎで既に席についているお客さまの夕食を始めることに。するといつものケイト氏とは思えない機敏な動きで新しく仕込みを始めているではないか。しかも何時になく命令口調なのである。がMrs.ケイトも自分のミスなので出来る限りのお手伝いをしなくてはと珍しく殊勝な態度である。食堂ではにこやかにお客さまの相手をしながらも足は厨房へと急ぐのである。しかし途中でケイト氏が「頭が混乱して胃が痛くなってきた」と言うではないか。「やっぱり外に食べに行ってもらおうか」と言うと「いや大丈夫作るから」と言いつつ手は忙しく動いているのでMrs.ケイトもエビの背わたをとったり茹でた野菜をざるにあけたりと料理を運びながら助手も勤めおおわらわである。どうにかこうにか最初の食事が終りに近づいた頃には奇跡的に次の準備も出来上がり無事夕食をお出しすることが出来たのであるがこんなことは後にも先にも始めての事で終わった時には二人とも口を利く元気もない。そして翌朝のことである。「昨日がケイト氏のいざだった訳ね。初めてお目にかかったわ」とMrs.ケイトが言うと「僕のいざはあんなもんじゃないよ。もっとすごいいざだって大丈夫さ」と得意そうに鼻の穴を膨らませて見せるのであった。 |